今読んでいます。単行本はずっと前に出ていましたけど、文庫本を待っていました。
宣誓供述書というものですから、ディベートの参考書としても非常にいいものだと感じました。事実をもって反論する、しかも自分のしたことや言ったことだけではなく、他人や、あまつさえ敵国の首脳や武人の発言をもって反論しているところは圧巻です。
メモ魔というあだ名があるくらい当時の記録を残しているからこその反論という面もあるでしょうけど、素人的には全く隙のない供述書だと感じました。
それと、内容が内容だけに開戦前からの歴史書として読んでも面白いと思います。面白いなどと表現するのは非常に失礼になると理解した上で、非常に面白いです。当時の政府・統帥部がどういうふうに運営されていたか?ということについても現場の中枢にいた人のお話ですから、非常に参考になります。
今、最後の部分を読んでいますが、最後の部分となると
■天皇陛下の戦争責任
■大東亜共栄圏の話
に話が及びます。
天皇陛下の戦争責任については、輔弼という面から制度的なことのみならず実体・慣例的なことも例示し、全然天皇陛下におかれては戦争責任などはないとはっきり宣誓し、その責任は全然輔弼する立場である内閣、統帥部にあると断言しています。
戦犯として被告の場にたって、ここまではっきりと「自分たちに責任がある」と言い切れる潔さ、その責任の重さをはっきりと自分の腹の中に収めている覚悟、天晴れと表現するしかありません。秘書が秘書がなどと往生際の悪い政治家に爪の垢でも飲ませてやりたいものです。また天皇陛下の平和を欲する心をひしひしと感じて理解しているからこそ、その開戦に至るまでの審議に関しては慎重の上に慎重を重ねていることも書かれています。当時としても、ここまで国家機関が稼働していたこと、また、その関係者全員がその責任を全うしようと全力をかけていることも伝わってきます。意外だったのは、海軍関係の戦争への姿勢がはっきりしなかったことですね。海軍は戦争反対で陸軍は戦争派だというようなことも聞いた記憶がありますけど、少し印象が変わりました。
あと、大東亜共栄圏の話に至っては、読んでいて心に訴えてくるるものがありました。生半可な思いではここまでの文章にはならないだろうというくらい琴線に訴えるものがあり、またその実態は各種事実をあげるまでもなく、まさに東亜の平定、共存共栄を目指したものであり、日本国はひたすら東亜の中の日本、世界の中の日本、自国の周りがただ平和であることを願う、それはまさに万邦共楽の精神に他ならない。その証左に戦闘開始後に占領した地域にも独立を促し独立を認め、英国などに奪われていた領地を復活させ…、ということにも現れています。
対米交渉についても日本としてはぎりぎりの譲歩をしてなおアメリカの姿勢が緩和されざるにいたっても、なお外交交渉により解決すべしとの姿勢を保ち継続するも、最後通牒のハル・ノート(これが策定についてはソ連のスパイが関与していたことは歴史の事実としてあると聞いています)に至りしは、ことここに決せるべしとなり、対米英戦不可避。しかるも戦闘開始後といえども外交交渉に進展あれば即時戦闘中止の構えありという、好戦的というよりは、ひたすら穏便にことをすませたいという反戦の姿勢ありありと認めしところなし。
すいません、ちょっと宣誓供述書の口調になってしまいました。
対中戦争同様にどんどん周りに誘導されて深みにはまってしまったという印象しかありません。
■対支那事変の早急に解決したい
⇒援蒋ルートがなくならない
■自存自衛が国家の基本
⇒英米蘭の経済封鎖による国内の逼迫
■米国からの石油輸入が生命線
⇒ハル・ノート
■連合国はカイロ会談で台湾などの割譲を勝手に決めている
■ヤルタ会談で千島列島や樺太南部の割譲を勝手に決めている
⇒上記は当時国際法上認められていた日本国領土
この戦争で一番利益を得たのはソ連でしょう。そのソ連=共産化をひたすら防止していたのが日本だったのですが、その日本を徹底的に粉砕してその後どうなったでしょうか?
マッカーサーも戦後アメリカ議会で証言した通り、日本の今次戦争は
「自存自衛の戦争」
だったことは明白でしょう。
日本こそ犠牲者ではないか?
東条英機、日本を太平洋戦争=大東亜戦争に巻き込んだ国賊というイメージが強いものですが、この供述書を読めば印象は正反対です。いかにして日本を存続せしめるかということだけを考えて政策を遂行した、国家指導者として賞賛されるべき人物ではないかと感じました。
当然、戦争には負けてしまいましたのでその「敗戦」の責任はあるかもしれませんが、そもそも戦争の目的がアメリカに勝つというような矮小なものではなく、
大東亜の解放、平安
であれば、そのような責任も問いにくいのではないかと感じます。
以上、戦争を知らない世代の世迷い言でした。
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