【政界徒然草】「息をつくようにウソをつく」と首相を追及した民進・蓮舫代表 7つのウソ・矛盾 党首討論で露呈(1/9ページ) - 産経ニュース
2016.12.19 01:00更新
民進党の蓮舫代表が7日、安倍晋三首相との初の党首討論に臨んだが、少なくともウソ・矛盾が7項目あった。首相との討論は約32分間で、このうち蓮舫氏が質問した時間は約14分間だった。NHKで全国に生中継された討論で2分に1回という驚くべき頻度でウソ・矛盾を披露したばかりか、首相に向かって「息をするようにウソをつく」と毒づいた。確か国会議員になる前はテレビのキャスターをしていたはず。公共の電波でいったい何を伝えていたのか。もはや国会議員の資質さえ疑われる常識では計り知れないその厚顔無恥ぶりを検証してみた。
(1)IR法案には反対だ
蓮舫氏は冒頭、カジノを含むリゾート施設(IR)整備推進法案を取り上げ、「反対だ」と明言した。だが、超党派の推進議員連盟には民進党の議員もいる。党内には最近、独自の推進議連が発足した。
正確に言えば、蓮舫氏は「こんなに拙速な審議でカジノを解禁することには反対です」と、条件付きでの反対を主張した。一方、法案提出者には柿沢未途役員室長らも名を連ねている。蓮舫氏は、柿沢氏が提出者から外してほしいと求めても自民党議員らが拒否したと訴えたが、言い訳でしかない。事実として法案提出者なのだから。むしろ、旧民主党時代から変わらず党内がバラバラであることを露呈した。
(2)「強行採決」批判
蓮舫氏は自民党がIR法案を衆院で「強行採決した」と批判した。首相が「強行採決をしたことがない」と発言したとも決めつけ、その直後に「息をするようにウソをつく」と発言した。
ここは笑うところだったのだろうか。ウソを言ったのは蓮舫氏だからだ。首相は「強行採決をしたことがない」とは言っていない。今年10月の国会答弁で「強行採決をしようと考えたことはない」と述べたことを捏造しているのだろう。「したことがない」と、「しようと考えたことはない」では、意味合いが全く異なる。妄想で勝手に首相が言ったことにしておいて批判するとは、マッチポンプも甚だしい。
蓮舫氏は約14分間の質問で、「強行採決」との言葉を16回も使った。1分以内に1回以上の計算だ。よほど「強行採決」との表現がお気に入りのようだ。
それもそのはず。蓮舫氏も閣僚や首相補佐官を務めた約3年3カ月間の民主党政権は衆参両院の委員会で計24回、「強行採決」を行った。蓮舫氏は昨年の安全保障関連法案も「強行採決だ」と批判し、首相に「気持ちいいまでのその忘れる力を何とかしてくださいよ」と訴えた。蓮舫氏は自身に驚異的な「忘れる力」があることを忘れているようなので、紹介する。
「強行採決」の定義はさまざまだろうが、ここでは「政府・与党の対応に反発した野党が委員会を欠席する中で与党の賛成多数で採決した場合や、野党が出席する中で与党が質疑を打ち切り、怒号が飛び交う中で採決した場合」としておく。民主党政権は先述の通り計24回あった。子ども手当法案や高校無償化法案などの目玉政策の法案もあった。
首相別の内訳は、約9カ月間の鳩山由紀夫首相時代に16回、約1年3カ月間の菅直人首相時代に1回、約1年3カ月間の野田佳彦首相時代に7回だった。一方、間もなく丸4年となる安倍政権では計15回だ。鳩山首相時代だけで安倍政権をしのぐ多さだった。
蓮舫氏は「首相は良いときは自分の功績、悪い時は人のせいだという。4年前に敏感になるのは分かるが、今に敏感になってください。首相は4年前に敏感で今に鈍感すぎる」と主張したが、蓮舫氏はあまりにも過去の振る舞いに鈍感すぎる。その「忘れる力」をなんとかしないと、議論の土台すら成り立たない。
(3)議員立法の審議は全ての政党が同意した上で審議する
これもまた明らかなウソか、知識不足による決めつけだ。蓮舫氏は議員立法のIR法案に関し「国会は長い歴史の中で、議員立法の審議は全ての政党が同意をする上で審議に入り、採決する。それを無視したのは自民党だ」と述べた。
だが、首相が「必ずしもそうではない」と即座に反論したように、議員立法でも各党の同意がないまま審議入りした例はある。なにしろ、民主党が他党を無視して実践していた。
例えば平成19年12月26日、参院議院運営委員会は当時野党だった民主党の議員立法であるテロ根絶法案、障害者自立支援法改正案、土壌汚染対策法改正案、刑事訴訟法改正案の4法案の審議入りを決めた。民主党は当時、参院の第一党で、与党の自民、公明両党よりも議席が多く、衆参が「ねじれ」ていた。参院議運委員長は民主党の西岡武夫氏。同委員会では自民党などが4法案を各委員会に付託する「つるし」を降ろすことに反対して賛否が同数となり、最後は西岡委員長の裁定でつるしを降ろした。つまり自民党が反対しても民主党は議員立法の審議入りを決めたのだ。
蓮舫氏は「複数の政党の議員が提案した議員立法の場合」と言いたかったのかもしれない。しかし、実際はそうは言っていないので、これはウソになる。
(4)公明党の山口那津男代表はキューバのカジノを見た
これも明らかな間違いだ。山口氏はキューバのカジノを見ていない。そもそもキューバはカジノを禁止している。山口氏は9月に中南米を訪問し、パナマのカジノを視察して感想を述べた。山口氏は13日発行の夕刊フジの自身のコラムでこの点を指摘し、「事実誤認が重なっては、興ざめだ」と蓮舫氏を批判した。
蓮舫氏は、柿沢氏がIR法案の提出者であることを指摘した首相に対し、「欠席裁判で言わないでくださいよ」とかみついた。柿沢氏はその場にいたが、反論の余地がないのに批判するな、と言いたかったのだろう。
同じことは蓮舫氏にも言える。山口氏も党首討論の場にいたが、反論できる機会がなかった。蓮舫氏は見事なまでの「欠席裁判」を実演し、民主党以来の伝統芸であるブーメラン技まで披露したのだ。
(5)有効求人倍率が改善されたかもしれないが、東京に一極集中で出てきているから。地方に仕事がない
安倍政権では全都道府県で有効求人倍率が1倍を超えた。「改善されたかもしれない」ではなく、改善されたのであり、「地方に仕事がない」とは言い難い。しかも「東京に一極集中」で地方の有効求人倍率が上昇する理屈が全く説明できていない。
首相はすかさず「各県で回復したのは東京一極集中が進んだせいではない。それなら沖縄の有効求人倍率が上がるはずない」と反論した。こんな反論をするまでもなく、蓮舫氏の質問は支離滅裂としかいいようがない。
(6)政治分野の男女共同参画推進法案に公明党は賛成している
これは説明を要する。女性の国会・地方議員を増やすため、選挙で男女の候補者数をできるだけ同じくする(均等にする)法案は、自民党や民進党などの超党派の議連が検討してきた。
ところが、民進党や共産党など野党4党は5月に自民、公明両党などをのぞき、男女の候補者数を「できる限り同数となることを目指して行わなければならない」とした法案を提出した。公明党はこの法案に賛成していないので、蓮舫氏の「自民党さんさえまとめてくだされば、実現する可能性まで持ってきた」との主張は誤りだ。
しかも蓮舫氏は民進党などが出した法案が「できる限り同数」としているのに、党首討論では「男女の候補者をなるべく均等にしましょう」と説明した。「均等」は自民、公明、日本維新の3党が12月9日に提出した法案だ。細かいことかもしれないが、超党派議連では「同数」にするか「均等」にするかで見解が分かれ、別々の法案提出に至ったという肝の部分だ。自身が代表を務める党が出した法案さえ理解していないことをさらした。
蓮舫氏は、自民党内で法案への賛否が相次いだことを念頭に、首相に対し「輝く女性と言ったのであれば、党内をまとめてくださいよ」「言っていることとやっていることがあまりにも違う」と啖呵を切ったが、まずは事実を正確に認識し、自らの案を十分に理解する方が先ではないか。
(7)首相のその答えない力、逃げる力、ごまかす力、まさに神っています。ちゃんと真っ正面から答えてくださいよ
真正面から答えていないのは蓮舫氏だ。自身の日本国籍と台湾籍とのいわゆる「二重国籍」問題ではウソの説明を繰り返した。蓮舫氏は国籍法に基づく日本国籍選択の宣言を行ったとしている。選択宣言をした場合は、戸籍に年月日が記載されるため、戸籍謄本の公表はその証明になるが、「極めて個人的な件」などと言い訳をして拒み、客観的に確認できない状態が続いている。
党首討論での首相への批判は、すべて自省の弁かと見まごうありさまで、「蓮舫氏のその答えない力、逃げる力、ごまかす力」は、まさに「神っている」としか言いようがない。公共の電波を通じて堂々とウソを垂れ流したことについて、蓮舫氏は後日、訂正も謝罪もしていないようだ。
ということは、これは何か意図的な演出によるショーだったのだろうか。こんなウソがまかり通っていいはずがない。普通の人間ならば、「息をするように」2分に1回もウソをつくことはできない。ましてや国会議員が公の場で述べた言葉だ。
蓮舫氏は15日の記者会見で、「蓮舫氏が台湾総統選で投票した」などの情報がインターネットで出回っているとして、「なぜ事実でないことが流れるのか」と苦言を呈し、ネット対策の必要性を訴えた。他人のウソを戒めるのも結構だが、蓮舫氏こそ公共の電波を通じて垂れ流した自らのウソを訂正し、自身がウソをつかないための対策を取った方がいい。
そもそも蓮舫氏について真面目に取り上げて検証する方がおかしいのかもしれない。NHKは党首討論の中継で「これはフィクションです」とのテロップでも入れればよかったのに。いずれにせよ、蓮舫氏が党首討論に臨む資質を欠いた“出演者”だったことは間違いない。(政治部 酒井充)
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