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2010/05/23

50年の時を越えて

作家初期の未発表作品の草稿が見つかるなんて、しかも昭和30年代とは…
遠藤周作の未発表作?長崎で草稿ノート初公開 : 文化 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

遠藤周作の未発表作?長崎で草稿ノート初公開 : 文化 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 長崎市東出津町の遠藤周作文学館で22日、開館10周年記念企画展「遠藤周作と映画」が始まった。

 併せて、初期の未発表作とみられる中編小説「われら此處(ここ)より遠きものへ」の草稿ノートも初公開され、初日は多くのファンでにぎわった。

 草稿ノートは、遺族から寄託された遺品約3万点の中から発見された。約80ページにわたり、青インクで書かれている。1955年ごろの日記にこの小説の内容と重なる部分があることから、同時期の執筆とみられる。

 「悪」の問題への探求をテーマにした内容。遠藤周作も留学していたフランス・リヨンを舞台に、サディズムを探求する日本人学生と、ナチス時代の秘密警察「ゲシュタポ」の拷問を受けた黒人学生の二つの物語が交錯しながら進められていく。

 同館は、研究資料として草稿に解説を付け、今年度中に出版する予定。学芸員の池田静香さん(34)は、「昭和30年代前半に残された草稿は数が少なく、作家の初期の研究を進める上で第一級の資料」と話している。

 草稿ノートは当面展示する。企画展は、2012年の5月中旬までの開催予定。入館料は大人350円、小学生から高校生は200円。

(2010年5月23日15時00分 読売新聞)


私が遠藤周作を読み出したのは、兄が買ってきた「狐狸庵閑話」からです。ぐうたらシリーズというのがまず興味を引きましたし、なかなか軽妙な、それでいて時々ぐっと深い内容とか考えさせられる内容、あるいは昭和30年代の空気感が感じられる内容など、一気にのめり込みましたね。

一通りぐうたらシリーズを読み終わると小説にはまりましたが、中でも「女の一生:キクの場合」が一番印象に残っています。

キリスト教弾圧に絡んでキクという女性の一生が綴られているわけですが、強烈に記憶に残っているのは拷問のシーンですね。男の子が木で組んだ1尺の檻のようなところに閉じ込められるという拷問で、その子どもがなんとかしゃべらずに母親の元に帰ったとき、「ぼくしゃべらなかったよ」というようなことを言うんです。唐突にここだけを説明しても何の感動もないと思いますが、読んだ時には涙があふれました。

「沈黙」もそうですが、神を信じるものにとって神などいないのではないかという拷問は気が狂いそうになるものでしょう。肉体的な痛みなど逆に神を信じるための炎になりはしても、神を信じられなくさせる精神的な痛みは耐えられないでしょう。そういう思い・感情が出てくる事自体、信じるものを八つ裂きにするようなものでしょうからね。

自分は特定の宗教を信心しているということはありませんが、それでも何かに頭を垂れるという感情を持つことの尊さはわかるつもりです。

他にも、宗教とは…神とは…仏教とは…というかなり深い内容を書かれている本もありますが、ぐうたらシリーズのような軽妙なエッセイもある。私にとっては硬軟合わせもつ稀有な存在でした。

なので、お亡くなりになったというニュースにはただただ驚きの一言でした。司馬遼太郎氏がお亡くなりになったときにも感じましたが、もっともっとこの人の書いたものを読みたいと思う作家が逝去されるのは残念という一言しかありません。そういう際に、このような草稿が見つかるのは明かりがぽつっと灯るような、そんな出来事ですね。
 


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